2010年5月
胃潰瘍は、私たち消化器科医師の関わる最も日常的な病気のひとつで、2002年の患者調査と2004年の人口動態統計によると、十二指腸潰瘍と合わせた上部消化管潰瘍として、おおよそ1年間に78万人もの人が病院にかかり、毎年3 千人以上の人が命を落としています。
胃潰瘍の発症要因としてストレスや飲酒・喫煙などがあることは、よくご存じと思いますが、本邦では潰瘍を発症した人の90%以上にNSAIDsと言われる薬剤の服用、もしくはヘリコバクター・ピロリという菌の感染を認めることが知られています。このことから胃潰瘍の予防としてはNSAIDsの服用者とピロリ菌の 感染者に対する対策が重要なポイントになります。
NSAIDsは、しばしば関節の痛みに対する痛み止めや脳梗塞の予防薬として処方されますが、服用の際に胃への攻撃因子となる胃酸の分泌を抑えるPPI及び H2 blockerという薬やプロスタグランジン製剤という薬を服用することで一定の予防効果のあることがわかってきました。特に潰瘍の既往のある人や腎不全などの慢性疾患のある人、高齢者ではNSAIDsを服用する際にそれらの薬剤を検討する必要があります。またNSAIDsの鎮痛効果により無症状で潰瘍が進行してしまうこともあるため定期的な内視鏡による検査も大切です。
一方でピロリ菌の感染についても様々なことがわかってきました。もともと胃酸の中では細菌は生きられないと考えられていましたが、オーストラリアの学者によってピロリ菌が発見され、特に本邦では健常人でも実に70~80%の人がピロリ菌に感染していることがわりました。ピロリ菌は菌自体より産生される胃粘膜傷害物質と、ピロリ菌の感染に反応して胃粘膜から出てくる内分泌物質により胃の粘膜を慢性的に傷害し、胃潰瘍や慢性胃炎を誘発するとされ、胃潰瘍をきたした患者様でも除菌療法によりピロリ菌を死滅させることができれば、潰瘍の再発率は年間2~3%程度と、除菌していないか除菌不成功例の年間50%前後の再発率と比べて、かなりの予防効果があるのがわかります。
最後に自己紹介をさせていただきます。私は東京出身で平成13年に筑波大医学専門学群を卒業後、水戸の茨城保健生協城南病院で8年ほど一般内科医として勤務し、平成20年10月より当院消化器科にて末席を汚させていただいています。まだ修行中の身ですがアイスホッケーと柔道、マラソンで鍛えた気合いと体力、忍耐力を生かし、患者様ならびにご紹介下さる先生方の期待に応えられるよう日々努力して行きたいと思っています。よろしくお願い申し上げます。
外来担当 毎週火曜・金曜(午前8時30分~12時)










