2010年6月
整形外科に運ばれてくる骨折の患者さんのうち、最も多いのは大腿骨近位部(頸部、転子部)骨折です。骨がもろくなってきた高齢者が、転んで尻もちをついたりした時に受傷するケースが多くみられます。
骨折部がずれてしまうと、痛みのために動けなくなり、多くの方がベッド上で寝たきりになってしまいます。高齢者は、寝たきりが続くことで肺炎や認知症などの合併症を起こし、命を落とすこともあります。この骨折の1年死亡率は10~30%とも言われ、命に関わる病気の代表・ガンの死亡率と比べてもかなり高い数値です。できるだけ早く手術(金属材料で骨を固定)を受けて、寝たきりの期間をリハビリテーションで最短に抑えるのが一般的 な治療法です。
なかには、転倒したという外傷歴が全くないのに、大腿骨頸部に自然にヒビが入る患者さんがいます(脆弱性骨折と呼ばれる)。ヒビがずれていない最初のうちは、股の付け根に痛みを覚えながらも何とか歩くことができます。そのまま痛みを我慢して数日~数週間歩いているうちに、ある時、完全にずれた骨折になってしまい、一歩も歩けなくなって救急車で搬送されてくるという経過がよくあるパターンです。
ヒビだけでずれていないうちは、骨折部をネジやピンで止めるだけの小さい手術、もしくは手術せずに安静を続ける保存治療でも治癒が期待できます。しかし、一度完全にずれてしまうと「人工骨頭置換術」という大きな手術が必要になります。ずれの有無によって治療による体への負担が大きく変わるため、ずれる前にヒビを発見することが非常に大事です。レントゲンではヒビが全く分からず、磁気共鳴断層装置(MRI)という特殊な画像検査で初めて見つかることもあります。草むしりをした後や軽く尻もちをついた後に股関節の痛みが出てきて,歩くことはできるが日増しに痛みが強くなってくる症状が続く時は、ずれていない骨折がないか確認する必要があります。そういう時は、ぜひ整形外科を受診されることをお勧めします。
最後に自己紹介をさせていただきます。出身は青森県で、平成17年に東北大学医学部を卒業し、平成21年より当院に勤務しています。今後も地域医療に微力ながら貢献できればと思っていますので、よろしくお願いいたします。
外来担当 木曜・金曜(午前8時30分~12時)










